季節の話題(その3)

 

● フキノトウをよく見てみよう ●

早春、といっても、まだ風の冷たいころです。

フキノトウが元気に顔を出します。

みそづけや天ぷらもいいですが、たまには

じっくり観察してみませんか。

フキの葉のルーツを見つけた!
  
   少しのびたフキノトウを、1本ていねいにとってきます。淡い緑色の葉が重なりあ
 ってついているのがわかります。この葉は鱗の形をしているところから、鱗片葉とよ
 ばれています。
   これを1枚ずつはがして、並べてみます。すると、1枚1枚の形が少しずつ違って
 いることに気がつきます。内側(上の方)についている鱗片葉は小さく、形は先端の
 尖った卵形をしています。 しかし、外側(下の方)にいくにつれて、葉の先端にふく
 らみができていき、いちばん外側のものは、ふつうのフキの葉の形にそっくりな腎臓
 形をしています。
   一般に葉というものは茎の一部が変わってできたものと考えられています。フキノ
 トウのこの鱗片葉も、はじめは単純な形をしており、のちに葉柄と葉身に分かれてい
 くわけです。

根はどうなっているのかな?
   
   フキノトウの根は地下茎といって、地面の下を横に長くのびています。地下茎が
 特に太くなっているところにフキノトウが出ています。そこには古い葉の残りがついて
 いることもわかります。
   フキノトウが出ているところというのは去年、ここから何枚もの葉を出して、さかん
 に光合成をして養分をつくっていたところなのです。その蓄えられた養分を使ってフ
 キノトウはのびることができます。
   フキの生えているところなら、どこでもフキノトウが出るとは限らないのは、何年も
 かかって養分を蓄え、それを使ってやっとフキノトウの株が出せるようになるからです。
  
花はどうなっているのかな?
 
   フキノトウは、花を咲かせるための株です。一つの花に見えるのは、じつはたいへ
 ん小さな花の集団で、キク科の特徴でもあるのですが、これを頭状花とよんでいます。
 タンポポもキク科ですから同じ頭状花です。一つのタンポポもじつは小さな花が密集
 した花壇のようなものなのです。
   フキノトウのよく見ると、株によって花が少し違うのに気がつきます。糸のように細
 い花が集まっている頭状花があるのが雌株で、花が終わると実をつけます。細長い
 糸のように見えたのはめしべです。
   また別の株には、先が5枚に分かれた筒状の花が集まっている頭状花があります。
 この花には、おしべとめしべがありますが、実はつきません。これが雄株です。

  
これが雄株の頭状花です。

   これが雌株の頭状花です。